之山文庫ブログ

2010年8月の記事一覧 : 之山文庫

本告文庫(三)

 本告文庫の和綴じ本の中に、江戸時代の版本で山東京山の『歴世女装考』四冊がある。表紙左上の題簽に「歴世女装考」とあり春、夏、秋、冬と分冊している。表紙裏に「岩瀬百樹翁撰」「歴世女装考」「三書房合梓發兌」と三行に記し、「弘化四年丁未三月 菅原祐之」と署名する「序」があり、「弘化四年丁未二月廿五日 江戸 岩瀬百樹」の「附言」と続く。弘化四年は西暦1847年で、山東京山は1769~1858年という生没なので、78歳の刊行である。四冊それぞれの目次に「目録・前編之部」とあるので、この四冊で完結しているわけではない。第四冊目の冬の巻末に「後編目録」があり、後編刊行の意欲が伺える。その後に「俗称 岩瀬涼仙著」とある。涼仙は山東京山の号の一つである。さらに「官許 弘化四年 丁未仲秋」とあり、奥付に「安政二年乙卯十一月發行」「三都書肆」「京都 勝村治右衛門、大坂 秋田屋太右衛門、江都 須原屋茂兵衛」以下江都の書肆は他に七名の名を連ねている。十書肆が共同で出版しており、京山86歳になって発行できたのだろう。序文から8年もかかっているのは、当時の出版が簡単なものでなかったことを推測させる。

 なお、これは『日本随筆大成』一期六冊目に翻刻されていて、容易に目にすることができる。ただ版本とはいえかなりの美本が本館に所蔵されているので、何らかの活用ができないものかと思い、今「古文書を読む会」で輪読しているところである。

繁原 央

三浦文庫 家茂公上洛御供文書(PDF) miura8_




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