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第45回卒業式・第42回修了式 学長告辞

  ひときわ厳しかった寒気がいつの間にかスギ花粉を運ぶ春風となり、桜の開花予報が気になる時期を迎えています。本日ここに、常葉学園短期大学第45回卒業式並びに第42回修了式を挙行するにあたり、告辞を申し述べます。
皆さん、卒業、修了おめでとうございます。昨年の東日本大震災以降、当たり前と思っていたことが実はとても幸せなことであることに気づかされます。改めて、本日このように卒業式・修了式を挙行できる幸せを感じざるを得ません。また、今日までお子様を手塩にかけてお育てになられた保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。
そして、公私ご多忙中にもかかわらず、多数のご来賓をはじめ、関係各位のご臨席を賜り、衷心より厚く御礼申し上げます。
 本日ただ今、日本語日本文学科44名、英語英文科59名、保育科210名、音楽科40名、本科合計353名に卒業証書および短期大学士の学位記を、そして、専攻科国語国文専攻1名、保育専攻4名、音楽専攻23名、専攻科合計28名に修了証書を、さらに、国語国文専攻1名、保育専攻4名、音楽専攻22名、合計27名に学士の学位記を授与いたしました。したがって、平成23年度は、総数381名の卒業生と修了生を世に送り出すことができます。ここに至るまで様々な障害を乗り越えてきたことに思いを致すとき、万感迫るものがあり、言葉では言い尽くせない喜びを感じています。
 さて、皆さんが過ごしてこられたこの2年間あるいは4年間は、どのような時代だったでしょうか。ざっと、振り返ってみることにします。
 2009年8月、総選挙で民主党が圧勝し、本格的な政権交代が実現しましたが、沖縄普天間飛行場の移設問題や財源の不明確な子ども手当、高速道路無料化の迷走に見られるように、将来の政権維持に暗雲が広がり、日本の政治力が国際的にも低下しました。2011年3月11日、未曾有の東日本大震災が起こり、大津波や原発からの放射性セシウムの放出も加わり、被害者総数や被害総額が未だに把握できない状況にあります。円は大震災とEUの財政危機のダブルパンチにより、戦後最高値を更新し、輸出産業を苦境に追い込みました。
 このように、皆さんが本学に在籍している間に、日本を取り巻く環境は、政治的にも経済的にも極めて厳しくなっただけでなく、確固たる社会の価値観が危うくなり、不安と不信が増殖した時代に突入したと思います。この時代の流れは、皆さんの生活と決して無関係ではなく、たとえば家計のやり繰りや就職状況に暗い影を落としています。
 しかし、このように不安・不信が増殖した時代であるからこそ、皆さんは将来に希望を抱き、逞しく前進しなければなりません。ここで私は、皆さんに二つのキーワードを示したいと思います。
 その一つは、「学習暦」です。これまでの日本社会では、学歴が尊重され、高学歴の人ほど一流企業への就職や幸福な人生が約束される傾向にありました。しかし、今日の日本社会は、十八歳のときの業績をいつまでも評価するほど悠長ではありません。その瞬間、瞬間が勝負なのです。私たちは、死を迎えるまで学習を継続することを求められ、学習成果を積み上げていかなければなりません。優秀な成績を挙げた人はそれに満足することなく一層の努力を、そうでない人は将来を悲観することなく今からでも真面目に学習することを強く望みます。この学習成果の積み上げが、皆さんを成功に導くものと私は確信しています。
 二つ目のキーワードは、「社会的学習」です。皆さんが小学校に入学してから本学を卒業するまで学校で学んできたことは、ほとんどモデル学習です。つまり、予め正解が用意された問題だけを与えられ、学習してきました。このモデル学習は、皆さんに多くの知識を与え、思考力を身につけさせましたが、予め正解が用意された問題とは、社会的にはすでに解決済みの問題なのです。これから、皆さんは社会に巣立っていきます。そのとき、皆さんはさまざまな課題に直面し、戸惑うことも多いでしょう。なぜなら、今まで学校で学習してきたことは、社会的課題に必ずしも正解を与えないからです。まさに、皆さん自身が自主的に、かつ創造的に生きていくことが求められます。
ところで、「社会的学習」とは、机に向かって一人黙々と書物を読むという勉強ではありません。もちろん、これからも読書はしなければなりませんが、正解のない社会的課題を解決していくためには、書物から得た知識だけでは足りません。なぜなら、今は激動の時代であり、人類の遺産だけを頼りに問題を解決することが極めて困難だからです。
では、どのように学習すればよいのでしょうか。
第一に、「他人と意見交換をすること」です。他人と関わることは、価値観の衝突を招き、自分の思い通りにはいかないものです。そのために、私たちは個人の尊厳を旗印に他人と真剣に向き合うことを遠ざけてきたのではないでしょうか。
私たちは、一生懸命勉強すれば多様な知識を豊富に獲得することができます。しかし、自分だけではなかなか知恵を身につけることは困難です。知恵を身につけるためには、また創造的な活動をするためには、他人との関わりの中で自分を人間的に成長させることが必要です。
第二に、「失敗したときに他人や社会のせいにしないこと」です。
さきほど申し上げましたように、いったん社会に出ると、正解のない課題に直面します。したがって、私たちは判断を誤り、失敗をすることが多くなります。ここで大切なことは、同じ失敗を繰り返さないことです。失敗は、社会的学習の絶好の機会です。この機会を活かすか逃すかは、それ以降の人生に大きな影響を与えます。なぜ、自分は失敗したのか、その原因を冷静かつ客観的に徹底分析する必要があります。自分だけでは正解が出なければ、他人に相談すればよいのです。普通の人は失敗を他人に明かしませんが、社会的学習をするためには、あえて恥を忍んで他人に打ち明けてください。打ち明けられた人は、あなたに信頼されていると思い、喜んで相談に乗ってくれるはずです。
第三に、「早く結論を求めないこと」です。戦後間もない物資欠乏のときは、家計を豊かにすることがすべての日本人にとって幸福の条件でした。しかし、今日の成熟社会は、すべての人に共通の課題を見出しがたく、自分が幸福になるために何をすべきかを、各自が試行錯誤しながら考えなければなりません。だから、焦ってはいけないのです。
皆さんの中には、未だ就職先が決まっていない人や自分の進むべき方向が定まらず、就活が思うようにできないままに本日を迎えた人もいることでしょう。しかし、今思うような答えが出ていないからといって、将来を悲観することはありません。成果が出るまで、諦めることなく、前向きに明るく頑張ってほしいと思います。人生は、二十歳そこそこで結論が出るほど楽なものではありません。
最後に、これからの常葉短大について語ることにします。皆さんの中には、もう卒業するから関係ないと思う人がいるかもしれませんが、ぜひ応援団になってほしいのです。
世間では、短大の時代はすでに終わったと言い放つ人がいます。確かに、一般的トレンドとしては否定しませんが、常葉短大の社会的役割まで終わってしまったのでしょうか。本学は昭和41年に創立され、46周年目を迎えています。2万4千人余りの卒業生が、地元の幼稚園、保育所、民間企業などで活躍してくださったお蔭で、地域社会から確かな信頼を獲得しています。皆さんは間違いなく、この卒業生が遺してくれた大きな遺産の上に、さらなる貢献を積み上げてくれることでしょう。これこそが、常葉短大の社会的役割に他なりません。皆さんのご活躍を心から期待するものです。
しかし、私たちは、いつまでも長い歴史と良き伝統に安住するわけにはいきません。来年の4月から、常葉学園では3大学が統合し、新たに法学部と看護医療学部が設置される予定です。これにより、大学の教育研究活動は、つながり、ひろがり、そして新しいものをつくりだすことになるでしょう。このとき、常葉短大は、その陰に隠れてはなりません。今こそ、常葉短大のアイデンティティを見つめ、時代の要請にしっかり応えられるよう、勇気を持って果敢に見直すことが求められています。見直しは多くの痛みや苦しみを伴いますが、私たちは、「すべては『常葉短大に来てよかった』のために」、困難を克服する覚悟です。皆さんからの暖かい応援を切にお願いする次第です。
 お名残は尽きませんが、いよいよお別れのときがまいりました。いつか、どこかで皆さんと再会することがあるかもしれません。そのときには、社会人同士対等な関係です。お互い笑顔で「やぁ」と言葉を交わしましょう。皆さんの 将来が心豊かで幸多からんことを心よりお祈りしつつ、お別れいたします。ごきげんよう、さようなら。
平成24年3月16日
                 常葉学園短期大学  
                        学長 木宮岳志

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