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第46回卒業式・第43回修了式 学長告辞

 本日ここに、常葉学園短期大学第四十六回卒業式並びに第四十三回修了式を挙行するにあたり、告辞を申し述べます。
 皆さん、卒業、修了おめでとうございます。また、今日までお子様を手塩にかけてお育てになられました保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。
 そして、公私ご多忙中にもかかわらず、多数のご来賓をはじめ、関係各位のご臨席を賜り、衷心より厚く御礼申し上げます。
 ただ今、日本語日本文学科六十三名、英語英文科四十五名、保育科二百二十二名、音楽科三十二名、本科合計三百六十二名に卒業証書および短期大学士の学位記を、そして、国語国文専攻八名、保育専攻十二名、音楽専攻二十五名、専攻科合計四十五名に修了証書を、さらに、国語国文専攻四名、保育専攻十二名、音楽専攻二十名、合計三十六名に学士の学位記を授与いたしました。したがって、平成二十四年度は、総数四百七名の卒業生と修了生を世に送り出すことができます。ここに至るまで様々な障害を乗り越えてきたことに思いを致すとき、万感胸に迫るものがあり、言葉では言い尽くせない喜びを感じています。
 さて、こういう人生の節目のときには、はなむけの言葉として、洋々たる未来が開けているとか、無限の可能性を秘めていると言って励ますことが少なくありません。しかし、私はあえて、「人生は有限無常なり」という言葉を、皆さんに贈りたいと思います。この有限無常は、決して人生を悲観的に見るのではなく、むしろ人生を豊かにするものと考えます。
 まず、有限とは何でしょうか。有限の第一は、時間的限界です。人生は永遠に続くのではなく、いつか必ず死が訪れるということ。誰もが認めざるを得ない、
極めて当たり前のことですが、実はこのことを意識して人生を送っている人は案外少ないのではないでしょうか。このことを明確に意識すれば、自分の人生をマネジメントする必要があるということに気づくはずです。
 そのマネジメントを一言で言えば、「選択と集中」です。自分のやりたいことに集中し、自分の強みで勝負せよと言いたい。
 では、自分のやりたいことや自分の強みがわからなければどうすればよいでしょうか。それは、「自分を知ること」に尽きると思います。ところが、「自分を知ること」ほど難しいことはありません。
 パナソニックの創業者で、経営の神様とも呼ばれた松下幸之助は「自分を知るためには、自分を、他人と接するような態度で外から冷静に観察してみることを心がける。言い換えると、自分の心をいったん自分の外へ出して、その出した心で自分自身を眺めてみればよい。」と述べています。しかし、われわれ凡人にとって“言うは易く行うは難し”です。私は、自分を知るためには、立ち止まって考えるのではなく、歩きながら走りながら考えよと言いたい。自分はこんな人間だなんて思い込まずに、いろいろなことを体験したり、他人というメガネを通して自分を見ることが必要だと思います。
 有限の第二は、空間的限界です。私たちの生活の場は極めて限られており、どんなに活動的な人が一生かけても、世界のすべてのことを知ることはできないとうことです。
 したがって、自分のわずかな体験だけで判断するのではなく、書物や他人からの知識や情報を通して、自分の判断材料を補充しなければなりません。このことは、在学中にとどまらず、むしろ社会人になってから必要性を増すものです。皆さんには是非とも、生涯学習を実践してほしいと強く思います。
 有限の第三は、能力的限界です。どんな天才でも決してオールマイティではなく、ましてわれわれ凡人の能力は高が知れているということです。したがって、自分だけで事を成就できると思い上がってはいけません。他人の力を借りることが必要であり、チームワークで業務を遂行することが求められます。
 iPS細胞の開発でノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授は、授賞式のスピーチで、研究チームの若手メンバーのことを「みんなすごいの一言に尽きる。腹心という思い」と語り、「まだ折り返し地点。これからはたくさんの人と走らないとゴールにたどり着けない」とまで発言しています。私は、この謙虚さに山中教授の偉大さを感じます。
さて次に、無常とはなんでしょうか。無常の第一は、“人生は山あり谷あり”ということです。良いときもあれば、悪いときもあるので、一喜一憂するなと言いたい。
 NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組の中で、SMAPの中居正広は、次のような名言を吐いています。
 「努力しても、成功は保証されていないけど、成長は保証されている。」成功・失敗と関係なく、努力を継続してください。人間的成長は、いつかその人に成功をもたらすと、私は自分の人生経験から確信しています。
 無常の第二は、“時代は動き続ける”ということです。皆さんは、日本の製造業の「ガラパゴス化」について聞いたことがありますか。「ガラパゴス化」とは、孤立した環境で最適化が著しく進行すると、外との互換性を失って孤立し取り残されるだけでなく、外部から適応性と生存能力の高い種が導入されると最終的に淘汰されるおそれがあるという意味です。日本の製造業は、長い間日本市場という限られた環境の中で、顧客が求める極めて優良な商品を生産し続けてきましたが、近隣のアジア諸国において汎用性が高く、低価格の商品を生産する技術が導入されると、それに太刀打ちできなくなってしまいました。  
 過去の成功体験や現在の幸せに満足することが大きなリスクになりうることを私たちは自覚しなければなりません。一度手にした成功や満足を捨て去り、新しいものを追い求める勇気が必要だと思います。
 常葉学園の創立者木宮泰彦は、建学の精神の中で次のように述べています。「本学園の理想とする人間像は、美しい心情をもって、国家・社会・隣人を愛し、堅固な意志と健康な身体をもっていかなる苦難にもうち克ち、より高きを目指して学び続ける人間である。」是非とも、皆さんにはこの創立者の言葉を常に心の片隅に置いて、精進してください。
 さて、少し話しが長くなりましたが、最後にこれからの決意を述べたいと思います。皆さんの中には、もう卒業するから関係ないと思う人がいるかもしれませんが、ぜひ常葉短大の応援団になってほしいのです。 世間では、短大の時代はすでに終わったと言い放つ人がいます。確かに、一般的トレンドとしては否定しませんが、常葉短大の社会的役割まで終わってしまったのでしょうか。本学は昭和四十一年に創立され、四十七周年目を迎えています。二万六千人余りの卒業生が、地元の幼稚園、保育所、民間企業などで活躍してくださったお蔭で、地域社会から確かな信頼を獲得しています。皆さんは間違いなく、この卒業生が遺してくれた大きな遺産の上に、さらなる貢献を積み上げてくれることでしょう。これこそが、常葉短大の社会的役割に他なりません。しかし、私たちは、いつまでも長い歴史と良き伝統に安住するわけにはいきません。この四月から、常葉学園では三大学が統合し、新たに法学部と健康科学部がスタートします。これにより、大学の教育研究活動は、つながり、ひろがり、そして新しいものをつくりだすことになるでしょう。このとき、常葉短大は、その陰に隠れてはなりません。今こそ、常葉短大のアイデンティティを見つめ、時代の要請にしっかり応えられるよう、勇気を持って果敢に見直すことが求められています。見直しは多くの痛みや苦しみを伴いますが、私たちは、「すべては『常葉短大に来てよかった』のために」、困難を克服する覚悟です。皆さんからの暖かいご声援を切にお願いする次第です。名残は尽きませんが、いよいよお別れのときがまいりました。皆さんの将来が心豊かで幸多からんことを心よりお祈りいたします。
 皆さん、ありがとう、さようなら。

  平成二十五年三月十六日
    常葉学園短期大学
        学長 木宮岳志

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